読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

マスクを外せない選手

キャッチングの練習をして

そこそこ出来るようになったので

練習試合で始めてキャッチャーをする

選手がいました

 

 

試合が始まり

 

 

何度かのキャッチャーフライで

マスクを外さないでフライを捕りに行きます

 

 

ベンチから監督に

マスクを外して捕りに行け

そう言われて

 

 

ハイと返事をする

 

 

打者がバントしたボールがホームベース前に転がる

 

 

すると今度もマスクをしたまま

その打球を処理して一塁へと送球

 

 

またベンチの監督に

それもマスクを外すんや!と

 

 

ハイ!と返事をする

 

 

次のキャッチャーフライで

マスクを外せなかったその選手に

 

 

マスクを外せと言ったやろ!

何度言えばわかるんや!

出来ないなら

試合なんかするな!

あっちの端でマスクをとる練習しとけ!

 

 

監督から怒鳴られて

試合中にベンチの外に出されました

 

 

試合中にグラウンドの隅で

マスクをとる練習を試合が終わってでも

その選手と練習をしたのを思い出します

 

 

一見簡単に思えることが出来ない子もいる

 

 

出来ないまま野球をさせる訳にはいかん!

それがその監督の口癖でした

 

出来ないまま試合に出したりする方が後々その選手が苦労するだけ

選手が憎い訳でもなく嫌いな訳でも無い

 

 

コーチをしていつもそれを言われました

 

 

彼の目の前から何度も手でボールを上げ

 

ホラ!と言いながら

練習をしました

 

 

でもなかなか上手くマスクをとれないんです

 

 

こうするんやと

見本を何度もその選手に見せます

 

 

でもなかなかその選手は出来なかった

 

 

マスクを外せれば今度はボールを追えなくなる

ボールを追えればマスクが外せない

 

 

そのうち泣き始めるんですよね

出来ない自分が嫌になるんでしょうね

 

 

でも

泣きながらでもやり続けるその子の為に

 

何度も何度もボールを上げて

練習を続けるんです

 

でも結局その日に彼はマスクを

上手く外すことは出来なかった

 

 

監督はそんな彼の姿を見ていない訳でも無く

次の日も彼は上手くマスクがとれるまで

その練習を私とさされた

 

 

他の選手たちとは別行動で

 

 

何度かはとれるようにはなっては来ますが

どうしても上手く外せない

 

 

ちょっと休憩するか?

そうその選手に言うと

 

 

また泣き始めるんですよね

 

 

一旦練習辞めようや!

 

 

その子に気分転換の為にそう言うんですが

泣きながら首を横に振るんです

 

 

諦めないでその子はやり続けた

出来るようになるまで

 

 

他の選手がバッティング練習をしていても

バッティング練習もさせてもらえない 

そんな環境の中でも

 

 

彼は泣きながらも

よそ見一つしないでその練習を続けました

 

 

 

そのとき彼はまだ

 

小学3年生

 

野球が本当に好きな選手だったと思います

 

 

 

そんな彼も

どうしても大学で野球がしたいから

受験勉強を頑張り大学に合格する

 

 

今はやりたかった

その大学で野球をしています

 

 

そんな彼だから

今の彼の野球があると思うんです。