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ランナーコーチを目指した選手

 

持病を持ちながら野球をした子がいる

練習中にまで薬を手放せかった

 

病気でなかなか身体が成長しない

 

その為に身体も他の選手よりも

小さかった

 

 

けど他の選手と同様に練習をした

 

 

バッティングピッチャーをしても

ストライクボールをなかなか

投げれない

 

 

ストライクも投げれないのは

キャッチボールをしっかりと

しないからや!

 

 

そう監督から良く怒鳴られた

 

 

やろうとしてもなかなか出来ない選手

ノックをしてもフリーバッティングをしても

 

途中で皆んなからはずされ

個別に個人練習

 

 

それでもやる気を無くすことはしない選手

皆んなに追いつけない自分まで

攻めるときさへあった

 

 

どうして出来ないんや!

クソ!

 

そう声を出すときには涙をこぼした

 

 

あるとき

試合には行けずにグラウンドに残り

いつものように練習をする彼が私に言った

 

 

コーチ 僕は野球は無理ですか?と

 

 

どうしてそんなことを言うんや?

聞き返すと

 

 

 

何をしても皆んなよりも出来ないから…

 

 

顔を引きつらせて照れ笑いしながら

涙をこぼしてそう言った

 

 

野球が好きなら

そんなことはどうでもいいことないか?

野球は試合に出る選手だけでやるモノでも無い

 

 

そんな話を彼にした

 

 

試合から戻った監督に彼のことを伝えた

 

 

監督は目を真っ赤にして

 

 

分かりました 

ありがとうございます

 

私にそれだけを言う

 

 

次の日から彼はランナーコーチの練習も始める

試合にも同行しランナーコーチとしと

グラウンドに立った

 

 

とにかく怒鳴られ倒して怒られた

 

 

どうして今のを止めない!

そんな声でランナーに何が伝わるんや!

今のを回せないで誰がランナーを進めるんや!

お前はいつまで言われてるんや!

自分の言葉を言え! 

 

 

どんなに怒鳴られても

彼は下を向くことはなかった

泣きながらランナーコーチをするときなんて度々あった

 

 

勿論その間にも投げたり捕ったり打ったりの練習は嫌ほどした

 

 

お母さんが私に言う

やっぱりあの子には野球は無理ですかねと

 

〇〇がやりたいと言う間はやらせてあげて下さい

必ず野球が出来て良かったと思う選手に監督がします

もう少し我慢して下さい

お願いします

 

 

お母さんにそう言った

 

 

彼は日に日に誰よりも大きな声でコーチャーズボックスに立つようになる

どれだけ怒鳴られ倒そうがです

 

 

 

ある試合の始まりに監督がベンチから

 

〇〇!今日からランナーはお前に任せる!

お前の判断で行かせろ!

 

ランナーコーチの彼にそう声をかける

 

 

 

その試合の最終回

ショート後方へ打球が上がる

それを見た彼が

 

落ちる!走れ!

 

足の速い選手にスタートを切らせて三塁を回らせてゲームセット

 

 

試合終了後のミーティングで監督は

他の選手に言う

 

 

野球は試合に出る選手だけでは

勝てないんやで

〇〇のランナーコーチは

今日の1番のファインプレーや

 

 

それから彼はグラウンドに

残ることは無くなった

 

ランナーコーチとして

試合行きのメンバーとなる

 

6年生になり

送りバントだけでも試合に出たいと

彼は必死にバントの練習をした

 

他の6年生の誰よりも確実なバントが出来るようにと

 

他の選手がバッティング練習をしても

彼だけはバントの練習をした

 

でも公式戦で彼が打席に入ることは無かった

 

6年生最後の大学で行われる大会の前の週

キャプテンが監督に呼ばれる

 

最後の大会や

監督は〇〇を先発メンバーで使いたいと思う

お前はどう思う?

 

6年生全員で決めてから返事をします

 

キャプテンは監督にそう言い6年生全員を集めて話をする

 

送りバントを必死に練習をする選手がキャプテンからの監督の言葉を伝えた後に

 

俺は最後もみんなで優勝したい!

 

そう言うと他の6年生も

最後も優勝したいとキャプテンに言った

 

キャプテンは監督にそれを伝えると

監督は何度も何度も

それでええんか?お前らは!と言った

 

最後は怒鳴ったかな

 

監督はランナーコーチをする選手に

泣いて謝ってた

 

すまんすまんと

 

 

 

私も謝った

 

ごめんなと

 

彼はみんなと優勝したいんです

私にそう言った

 

 

最後の大会

どうしてもランナーを進めたい場面で

監督が動く

 

 

ランナーコーチの彼が呼ばれて

背中を監督に叩かれて打席に入る

 

深呼吸をしながら監督のサインを見る

 

勿論サインは送りバント

 

彼はボールがバットに当たって転がったのを確認して涙を流しながら走り始めた

 

ナイスバント‼︎

 

誰もがそう言う中をワンワンと泣きながら

全力疾走でベンチに戻って来る

 

監督はグラウンドに背中を向けて

堪えきれずに声を出して泣いた

選手たちの中にも泣いている選手がいた

 

スコアラーの彼のお母さんも

ありがとうございますありがとうございますと

私たちに頭を何度も下げた

 

 

大人の誰もが彼の姿に涙を流した

 

 

勿論その試合に勝ち優勝

 

 

夏以降無敗の結果を彼らは残し

小学生の野球を終えた

 

 

野球は無理ですかねと言った

その子のお母さんはその1年間6年生の全試合のスコアラーをしてくれた

 

どんな想いでずっとスコアーラーを

続けてくれたんやろ?

 

監督も私たちコーチたちも

彼のランナーコーチや送りバントの成功に

満足なんて出来なかった

 

 

申し訳ない

それしか無かった

 

 

彼は高校まで野球は続けませんでしたが

高校卒業後に私たちに言ってくれました

 

小学生時代に見捨てられたなんて

1度も思いませんでしたよ

でも本音を言えば監督もコーチも無茶苦茶怖かったかなと

 

 

そんな選手もいたから

今も私はグラウンドにいるんだと

思います